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小学校入学まで後1週間という時、父の仕事の転勤で引っ越しをした。
行くはずだった小学校のクラス・・・
そこには、わたしの名前が書いた机が用意されていた、と聞く。

新しい小学校、誰ひとり知る人はいなかった。
ランドセルも、新しいブレザーも靴も、
ピカピカ過ぎて、幼な心に、なんだか胸がいたかった。

気持ちがわくわくするはずの小学校入学。
不安だけが小さな心の中にいっぱいで、
そのどうしようもない、いっぱいの気持ちを抱えたまま、
小学校がスタートした。

今、避難生活を余儀なくされている子供たち。
いったい何人の子供たちが、誰も知らない小学校に入学するんだろう。

わたしが、うん十年前に経験したような、
あの不安がいっぱいの心をいだいて・・・

その子供たちに、伝えたい。

新しいおともだちができるよ。
すぐすぐじゃないかもしれないけれども、きっとね。

今のわたしからは、だれも想像できないと言うが・・・^^;

当時、わたしは、引っ込み思案でおとなしい子供だった。
誰とも話さず、ひとりで本を読んでいるような子供だった。

それでも、それでも、4月が過ぎて、5月が過ぎて、
6月の雨の頃の季節になると、おともだちができた。

夏休み、プールにいっしょに通うおともだちもできた。

心配しないでね。大丈夫だから。

・・・・・・

子供の世界、それは、大人の世界の鏡。

ひとり違う者、それを排除しようとする。
集団で叩こうとする。集団で叩けば、その集団が正義となる・・・

違うことを認めない、違うことの価値観を許さない、
そんな不寛容な世界がある。

子供の世界も同じ。

ひとり違う子、周りでいじめる子供たちがいる。
その周りの集団が、その世界の正義だから・・・

新しい環境に立ち向かう、子供たち。
この子供たちを暖かく受け入れて欲しいと願う。

大人が暖かい気持ちを持てば、それはおのずと子供にも反映する。

小さな心、破裂しそうなぐらい不安いっぱいの心。
どうにか、どうにか、見守って欲しい。受け入れて欲しい。

今、一番必要なもの、それは、寛容の心かもしれない。


・・・・・・・・・

昨日、バッグ作りの副資材を買いに、知り合いの問屋さんへと行った。
久しぶりに行った。

相変わらず、おじちゃんは元気だった。
正確に言うと、おじちゃんは、おじいちゃんになっていた。

まあ、わたしも、おばちゃんから、おばあちゃんになっていたけど。
2人で、お互い、じじとばばになったね、と笑った。

副資材、何に使うん?と聞かれたから・・・
バッグ作りがうんぬん・・・と答えたら・・・

これでよかったら、使って〜と、
キルティングの布を10枚分ぐらい奥から出してきてくれた。

わぁ〜、助かるぅ〜、ありがとね〜♪ と、いただいた。

うれしくなって、午後からもミシンが快調に進んだ。
夕方5時半には、バッグ第7号が完成した!

丈夫に使ってもらえるように、全部裏布をつけて、二重にした。
これで、少々重いものを入れても大丈夫。

まだまだ、いただいたキルティングの布がある。
それに、新たに購入したデニムもある。

春、桜の頃、お隣の公園から子供たちの遊ぶ声が聞こえる。
ブランコのキ〜コキ〜コいう音がする。

その声を聞きながら、
わたしは、ミシンをかたかた踏み、バッグを縫う。