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「すぐ死ぬんだから」 内館牧子 著 講談社

年を取ったら「見た目ファースト」。
くすんだバアサンなんて大嫌い!

終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。

78歳の忍ハナは、
60代までまったく身の回りをかまわなかった。
だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。
「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。
仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、
問題は息子の嫁(由美)である。
自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。
それだけが不満の、幸せな老後だ。
ところが夫が倒れたことから、
思いがけない裏を知ることとなる・・・

以上 本の帯より

・・・

ハナの心の声が、とにかく痛快でおもしろい。

「一般老人はなぜお金がないか。
 貯金するからだ。
 年金をやりくりし、生活を切り詰め、
 老後のためにと貯金するからだ。
 まったく、いまが老後だろうが。
 若いうちに切り詰めて蓄えたお金は、今が使い時だろうが。
 八十間近の、さらなる老後に何があるというのだ。
 葬式しかないだろう。」  本書16ページからの抜粋

「一番最低はね、頑張らないブス。わかる?
 同じブスなら、頑張らないブスが最低」
 わたしは「それアンタだよ」と言うように、しっかりと由美を見た。
「お義母様、わたしもブスだからわかるんですけど、
 頑張るブスは痛いだけですよ。
 同じブスならがん頑張らない方が笑われません」
「そうかもね。
 ま、ブスそれぞれでいいんだよ。
 しょせん、頑張るブスは痛いって笑われて、
 頑張らないブスは貧乏くさいって笑われてんだからさ。
 どっちみち笑われるなら、本人の好きがいいよ」
 本書 93〜94ページからの抜粋

読む端から、このような、ハナの心の声、
そして、痛快なやり取り。
読んでいて、楽しくなる。

あとがきには、このようなことが書いてあった。

あるとき、80代中心の集まりに出かけた。
すると、見事にくっきりと二分されていた。
外見に手をかけている男女と、そうでない男女。
外見を意識している男女ほど、活発、笑い、周囲に気を配る・・・

「人は中身」という声はあるものの・・・

「もう年だからいいや」
「自分にはおしゃれは関係ない」という気持ちでいると、
 それは、外見に現れます。
 中略
すなわち、その人の外見に、『意欲』が見て取れるのです。

確かに、外見に気を使っているお歳の方は、
見た目だけでなくて、はつらつとされている方が多い。

話しの展開だが・・・
60歳ちょいのわたしなんぞが、
まだまだ理解できない気持ちもあるが、
ハナの生き方は、小気味いい・・・

途中、落ち込むことがあるが、ぐっと巻き返すのである。
その時、頼りになるのが、「おしゃれ」なのである。
このあたりの心情を読むのがおもしろい。

さて、そんなとき、図書館で予約してた本が、
やっとこさ、わたしの順番となった。

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「洋服で 得する人、損する人」 霜鳥まき子 著 大和書房

40歳を過ぎると、生き方は装いにあらわれる

なんと言うタイミングだろう。
これを、ハナは読んだのだろうか・・・笑

「人は9割見た目であなたを判断しています。」

うっ・・・・・・・・・・苦笑

日々、選んで着る服。
同じ着る服なら、「得する人」になりたい。

そのためには、「幸せ服」を着る。
「不幸服」は、必要ない、ので、処分する。

わたしの服、
わたし自身が好きで買ったはずなのに、今の気分じゃない・・・

それは、買った時と、今のわたしとの「望み」にずれがきている、と、
著者は言う。

なるほど・・・

その人のクローゼットの中は、その人の生活のすべてを表す。

なるほど・・・

わたしの場合、
だいぶ、クローゼットの中身は、取捨選択したが、
まだ、心に引っかかるものはある。

迷えば、それは、「不幸服」と、なる・・・

なるほど・・・

今一段の、「幸せ服」を選ばなければ・・・

読書の秋、スタートに読んだ本としては、
なかなか興味深い本であった。