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「メイドの手帖」 ステファニー・ランド 著

 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救った
 シングルマザーの物語

・・・

ステファニーは、シングルマザー、メイドをして生計を立てている。
家族とはギクシャクしていて、心安らぐ頼りになる人がいない。
やっとのことで、ホームレスシェルターを出たとしても、
不安定な住居に住み、心安らぐことがない。

メイドの仕事は、誰にも見えない。
大抵の場合、掃除をする家の住人がいない間に、掃除をするからだ。
誰かに気付いてもらうことも、声をかけてもらうこともない。

そんな孤独なステファニー、常に誰かの愛を求めている。
しかし、彼女が満たされる場所はない。

そんな中、彼女は、いつか小説家になりたいという夢を追う。
コツコツと一人勉強をし、大学へ行く道を探る。

・・・

本の最後に解説がある。

日本人の解説者がアメリカに移住したとき、
カルチャーショックを受けたのが「掃除」に対する感覚の違い。
家で自らトイレを掃除していたのを、幼稚園の娘の友達に見られる。

そこで言われたのは、
「あなたの家は、貧乏なの?」
「お母さんがトイレ掃除をしているけど、
 それは、クリーニングレディー(掃除婦)がやることだよ」

日本人の解説者は、
自分のトイレの掃除を他の人にさせるなんて、失礼!と思うし、
自分でやった方が気楽だと、自分でトイレ掃除をする。

アメリカでは、周りを見回しても、
掃除婦を雇ってない家は、ほとんどいない。
「経済的に成功した女は自分でトイレ掃除をするべきでない」
という考えが、あるのだ。

日本の「トイレの神様」なんて歌・・・わかんないだろう・・・

トイレには、女神様がいて、トイレをピカピカにしたら、
べっぴんさんに、なるんやで〜♪

日本では、どのくらいの人が、メイドを雇っているんだろうか?

わたしは、もちろん、自分の家のトイレも、事務所のトイレも、
何の疑問もなく、わたしが掃除をする。

仕事で、事務所周りの掃除、アパートの階段の掃除もする。
事務所周りの草抜きもする。
公園の葉っぱの掃除もする。

アメリカの人から見たら、わたしは掃除婦だと思われるだろう。
そして、
お茶には呼ばれない(お茶に呼ばれる資格がない)かも、しれない。

その辺り、アメリカに住んだことがないから、全くわからない。

・・・

ホテルに泊まったら、なるべくきれいにして部屋を出る。
ゴミは、紙ゴミ・プラスチック・資源ごみと分別して・・・苦笑
タオル類は、全部、バスタブのところに置いて、
お風呂も、さ〜っと流して・・・
テレビのリモコンなど、あった所に戻す。
ベッドや布団も、それなりに片付けて。

以前、外国で、チェックアウトした部屋を掃除しているのを見た。
その、部屋の汚さに、びっくりした。
ゴミや食べたもの、缶などが、そこらへんに、投げ散らしていた。

いやだな、と、思う。

掃除をしてくれる人のことを思うと、いやだなと思う。
この辺りの考えが、根本的に違うのだろうなと思う。

「メイドの手帖」
決して読みやすい本ではないと思うが、
アメリカに行く予定、住む予定のある人は、読んでみるのも、ありかも。