昨日の衣替え。
プラスチックケースの中で眠っていたセーター。
ここ数年着ていない。
だから、処分対象なんだけれども・・・
このセーター、コットンとリネンのセーター。
買ったのは、アイルランドの名前も知らない田舎。
今から、15年以上前・・・
イギリスの西の発端からフェリーに乗り、アイルランドへと渡った。
着いた港、ロスレアという港。
アイルランドではイギリスのお金が使える、と聞いていたが・・・
使えない・・・(このときは、正直かなり焦った・・・)
なんとか銀行を探し、ほっ!っとした。
ほっと安心したとき、そこに果物屋さんが。思わず店に入る。
みかんっぽいオレンジを買った記憶がある。
そのオレンジ、甘かった記憶がある。
ロスレアから一路、首都ダブリンを目指し、運転。
途中、ジャガイモ畑の中の道を走る。
じゃがいも、袋に10キロぐらい入ったのが、
ところどころの道端に転がっていた。
FOR SALE!
売り物、と書いた手書き看板の横に転がっていた。
その値段、信じられないくらいに安かった記憶が。
石を積み上げて作った、ちっちゃな家、
映画「ライアンの娘」で見たような風景が続く。
そんな景色を見ながらのドライブ中、ふと気になる看板を発見。
はっきり覚えてないが、
「手づくり村」とかそんな感じの看板。
気になり、車を停めて中に入ってみる。
モノづくりの人たちが数人、そこでモノを作っていた。
その中、手作りのセーターのお店を発見。
季節は、夏の8月。
コットンやリネンのセーターなどが並ぶ。
アイルランドは、アイリッシュリネンで有名なところ。
素敵な手編みのセーターを発見。
値段、安くはないけれども、決して高くもなかったような記憶が。
そこの人たちが、自分たちで一枚一枚手で編んでいると言う。
ていねいな作りと、糸の色の良さにひかれ、一枚購入した。
大好きで、ずっと着たけれども、何せ15年以上前のデザイン。
あの頃は、だぶだぶのセーターが流行りだった。
今の感覚とはかなり違うデザイン。
昨日、処分しようかな〜?と、しばし考えた。
とにかく、保留の箱へ移動することにしたが・・・
どうしても気になる。
一枚一枚手編みしたんだよね・・・
もう一度、手に取り広げてみる。ていねいな編み目。
あちこちじっくりと見てみる。
解こう! そう考えた。
手で編んだんだもの、その反対をすれば、解けるはず。
セーターから、元の糸に戻そう。
そうすれば、糸として使える。
糸になれば、織りに使える!
袖を外し、襟を外し、肩や脇をほどき、そして糸にしていく。
昨日と今朝、がんばって解いた。
675gの糸が取れた。
今は、玉に巻いているけれども、カセにしてお湯に浸けて洗う。
すると、立派な糸になりそうだ。
糸になったセーター。
糸玉を見て、処分せずにがんばって糸にしてよかったと、思う。
この糸で何を織るかは未定。
フェリーに乗り、車を運転していったアイルランド。
道に迷ったり、宿が見つからなかったりと、大変なこともいっぱい、
けれども、親切にしてもらった思いもいっぱいのアイルランド。
そんな思いを糸に込めて、次は、ずっと使えるものを織りたい。